妊娠検査薬の注意点

妊娠検査薬での判定は、あくまで医師による確定診断を受ける前の補助的なものです。妊娠検査薬の結果をもとに、くれぐれも自己判断をしないようにしてください。

 

陽性反応が出た場合、できるだけ早く産婦人科を受診してください。妊娠初期はお母さんの体も赤ちゃんもとても不安定です。誕生したばかりの赤ちゃんの脳や心臓など大切な体の器官が形作られる時期でもあります。妊娠をできるだけ早く知ることで、母子ともにさまざまなリスクを回避することができますし、刻々と変化していく自分の体への理解や対応もできるようになります。

 

さまざまな事情で妊娠を望んでいない女性の場合でも、速やかに産婦人科へ行って確定診断を受けることで、選択肢は決して一つではないことを知るでしょう。また、正常な妊娠ではないのに、陽性反応が出ることもあります。または閉経期やhCGの投与を受けていたり、hCG生産腫瘍、高度の糖尿、尿たん白、血尿などの病気であることもあります。妊娠検査薬は尿の中のhCGホルモンの有無を判断しているだけです。

 

陰性反応が出た場合、引き続き生理が始まらないときは1週間ほど後に再検査をしてください、hCGの量が少なすぎて判定ができなかった可能性があります。生理予定日の勘違いや不規則な周期の女性にはよく見られます。それでも陰性の場合は、産婦人科を受診してください。異常妊娠(子宮外妊娠)、胎児異常(死亡、流産)、胞状奇胎などによる大量のhCG分泌などのケースでも陰性反応が出ることがあります。生理が来ないことを、軽くみてはいけません。

 

妊娠検査薬を使う時とは、いずれにせよ自分の体に変化が起きていると女性が感じた時です。体からの信号をきちんと受け止めることが大切です。

妊娠検査薬で陽性が出ても、産婦人科の病院で妊娠の確定診断が出ないことがあります。妊娠検査薬は、精子が着床すると分泌が始まるhCGというホルモンが尿に混入しているかで妊娠の可能性を判定します。妊娠検査薬のhCG検出感度が高くなり、生理予定日当日から検査できる製品もあります。検査日や検査手順を誤らなければ99%という確率でhCGの検出は可能で、信憑性も高いものです。

 

一方、産婦人科医院での妊娠確定診断は、超音波検査で胎嚢が見え、胎児の心拍が確認されて初めて出されます。妊娠6週目以降(生理予定日から2週間目以降)にならないと、胎嚢や心拍は確認ができないため、妊娠検査薬で陽性反応が出ても医院では確定診断が下せないことがあるのです。

 

妊娠の経過は最終の生理の日を基準にして「何週」とカウントされますが、実際は精子が着床したときから始まっています。ですから同じ妊娠5週でも、確定診断が受けられる人と受けられない人とが出てきます。

 

いずれにせよ、妊娠初期の女性の体はとてもデリケートです。陽性反応が出たら、速やかに産婦人科医院での受診をお勧めします。妊娠5週目くらいに流産となってしまうケースも決して珍しくはありません。適切な処置で流産を避けることは可能なのです。また、妊娠検査薬で陰性反応であってもその後生理が始まらなければ、やはり産婦人科を受診してください。生理が始まらないことは、女性の体にとって明らかな変化なのです。

不妊治療そのものが妊娠検査薬の判定に影響があるわけではありません。影響があるのはhCGホルモン投与の注射をしたときだけです。妊娠検査薬は尿の中に含まれるhCGを検出することで、妊娠を判断します。言い換えると、尿の中にほかのものが含まれていても反応しません。不妊治療の際に処方されている薬があっても同じことです。

 

hCGホルモンの注射を受けると、尿の中にもhCGが含まれるようになるので妊娠検査薬では陽性反応が出ます。不妊治療においてhCGの投与の目的は主に2つあります。

 

一つは、排卵を誘発することです。hCGを注射すると成熟した卵胞がおよそ1日〜1日半の間に排卵されるので、それにあわせたタイミングでセックスを行うと、妊娠できる可能性が高くなるからです。

 

もう一つは、黄体機能不全が原因の不妊の場合に、黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きを補充するために投与されます。黄体機能不全とは、黄体ホルモンが少なくて精子が着床する子宮内膜の状態が整わないことをいいます。精子の着床以前の子宮内膜の整備とともに、着床後も妊娠が継続できるようになります。

 

妊娠検査薬の使用に関しては、治療の際に医師と相談することが一番です。不妊治療を受けることは、精神的、肉体的、経済的に決して楽なことではありません。妊娠を強く望んでいるから継続していけるものです。治療期間も誰も予測はできず、結果も必ずしも約束されているものではありません。市販の妊娠検査薬を用いて、妊娠の可能性を一日も早く知りたいと思うことでしょう。自分の受けている治療の内容を理解していることが大切です。